ビニマスの施工

ビニマスの施工

1.運搬、および保管

運搬

ビニマスは軽量で取り扱いが容易ですが、積み降ろしに際しては放り投げたり、衝撃を与えたりしないでください。

保管

保管場所は屋内が望ましいですが、やむをえず屋外に保管するときは、荷崩れや変形しないようにすると共に、風通しのよい状態に保ってください。

2.工具類

ビニマスの施工に必要な工具類は、表-1の通りです。

作業名 工具類
据付け 水糸、下げ振り、スケール、水準器
接合 電気のこぎり、ジグソー、手のこ、ハンドグラインダー、ヤスリ、スケール、水準器、マジックインキ、バケツ、ウエス、接着剤、滑剤、刷毛、チェックゲージ、100V電源リード線、帯テープ または 細ひも

表-1 工具類(参考)

3.掘削

ビニマス設置部分の掘削幅は、表-2を標準とします。
なお、掘削は凹凸のないように平坦に行い、基礎となる地盤を不必要に乱さないよう注意してください。

マス径 掘削幅(cm)
150 40~50
200 40~50
300 50~60
350 55~65

表-2 マス設置部分の掘削幅(参考)

4.基礎

インバート部(ドロップ以外)の基礎

図-1 良質地盤の基礎

図-2 軟弱地盤の基礎

良質地盤の場合は、5~10cm程度の砂基盤を標準とし、十分に突き固め、所定の高さに仕上げます。
また、軟弱な地盤では、床面の一部を砕石や栗石で置き換え支持力を増してから、5~10cm程度の砂基盤を設けてください。(図-1、図-2参照)

インバート部(ドロップ)の基礎

図-3 縦型インバート部(ドロップ)の基礎

木だこ、突き棒等で、インバート部および、排水管の周囲を十分に突き固め、抱き基礎とします。
なお、曲管の周囲は特に入念に突き固めてください。(図-3参照)

据付け(宅地内マスの場合)

図-4 芯だし

(1)位置決めと排水管長さの測定
インバート部の位置決めは下げ振り等を用い、排水本管と一直線になるようにすると共に、排水枝管の接続を考慮して行います。据付け位置が決まったら深さと勾配の確認を行い、インバート部を仮置きし、排水管の長さを決定します。(図-4参照)

図-5 水平の確認

(2)据付け
インバート部は上面を水平にしたとき、流入側、流出側が規定の勾配になるように設計されているので、必ず上面を水平に据付けます。このとき、水平方向の確認は流水方向だけでなく、左右に倒れないように直行する方向も確認してください。(図-5参照)

据付け(公共マスの場合)

図-6 キャップによる仮止め

図-7 単管による仮止め

(1)流入側の仮止め

  1. あらかじめキャップがセットされている小型取付マスを用いる場合は、キャップが正確にセットされているかどうか確認します。(図-6参照)
  2. 排水設備工事に先立ち公共マスを設置する場合には、キャップ、または一端をキャップ止めした硬質塩化ビニル管を接合し、仮止めをしてください。(図-7参照)

図-8 取付け管 長さの測定

(2)仮据付けと取付け管長さの測定
下水本管に支管を取り付けた後、直管、曲管および、公共マスを仮置きし、公共マスが所定の勾配、深さに設置できるよう、曲管の設置位置、および取付け管の長さを決定してください。
特に、曲管の取付け高さは、公共マスの設置深さに影響するので、位置決めは正確に行ってください。(図-8参照)

図-9 水平、および深さの確認

(3)据付け
公共マスは、上面を水平にしたとき、流入側、流出側が規定の勾配になるように設計されているので、必ず、上面を水平に据付けます。作業にあたっては取付け管に公共マスを仮接合し、(1)所定の深さになるか、(2)勾配が正しいか (公共マス上端が水平であること)を確認し、調整してください。(図-9参照)

5.接合

管の切断

管の切断にあたっては、管の斜め切り、管端の食い違い等があると凹部ができ、汚物溜まりの原因となるので、管の切断を正確に行ってください。

図-10

(1)管軸に直角に切断標線を記入します。
切断箇所にテープ、細ひも等をあて、管軸に直角にマジックインキ等で、切断標線を記入します。(図-10参照)

(2)切断を丁寧に行ってください。
標線に沿って、ジクソーまたは、手のこ等で、切断面に食い違いが生じないように注意して正確に切断してください。

(3)切断面を仕上げます。
切断面に生じた、バリや食い違いを平らに仕上げると共に、管内外周をグラインダーまたは、ヤスリで軽く糸面取りをします。

管とインバート部の接合

図-11

■ 接着接合

  1. 接合する受口、および差口をウエスで拭き、油、水、砂、泥等を取り除きます。
  2. 受口長さにあわせて管に差し込み標線を記入します。
  3. 接着剤を受口内面、および差口外面に、刷毛で薄く均一に塗布してください。(図-11参照)
  4. 管軸を合わせ、管をインバート部受口の奥部まで挿入し、そのまましばらく保持します。
  5. はみ出した接着剤は、ウエスで拭き取ります。

接合上の注意

図-12 接合状態例

  • 排水管との接合は、ストッパーと排水管との間に段差ができると、詰まる原因になるので、必ずストッパーまで挿入してください。
  • 管を接合する時は、カケヤで叩いたり、ユンボで挿入したりしないでください。
  • 配管後、管内にもれた接着剤が気化して、管軸方向に小さなひび割れ(ソルベントクラッキング現象)が起きる可能性があるので、直ちにコンプレッサーやブロワー等で通気して、管路内の溶媒蒸気を取り除いてください。

■ ゴム輪接合

  • 接合部は清浄にしてください。ゴム輪受口およびパイプをウエスで拭き、砂や泥等を除去します。
  • ゴム輪状態を確認してください。ゴム輪が正確に溝に収まっているか確認してください。もし、ゴム輪がねじれていたり、はみ出している場合は、ゴム輪を取りだし溝を拭いてから、下記により、再装着をしてください。

注意

  1. ゴム輪接合の機能から、受口溝、ゴム輪、差し口の間に土砂、ごみ等の異物があったり、外傷があったりすると、水密性が低下するので注意すること。
  2. ゴム輪および、溝の清浄には石けん水、滑剤等の滑りやすいものを使用しないこと。
  3. ゴム輪は、仕様により方向性等の規制があるので装着時にチェックゲージ等を使用して、正しく収まっているか確認すること。

接着剤の取扱い

  • 接着剤は有機溶剤が主成分であり、外気に長時間放置すると気化して、接着力が低下してしまうので、取扱いには注意してください。
  • 接着剤は引火性が強いので、火気には十分注意してください。

図-13 接着剤の塗布

図-14 割りキャップへの接着剤の塗布

図-15

■ CA

  1. ビニマス(割り受口部)本体パイプ接着部、およびパイプをウエスで拭き、油、水、砂、泥等を取り除きます。
  2. 接着剤を本体パイプ接着部(割り受口部)、およびパイプに刷毛で薄く均一に塗布してください。(刷毛の塗り方向は、『図-13 斜線部』円周方向とします。)
  3. パイプを本体割り受口部のストッパー部に合わせ、すき間のないようにセットしてください。
  4. 割りキャップに接着剤を適量均一に塗布してください。(図-14 斜線部)
  5. 本体割り受口部に割りキャップをセットする際、凹凸の位置決めを行った後、プラスチックハンマー等で、確実にストッパーまで挿入してください。(図-15参照)
  6. はみ出した接着剤は、ウエス等で拭き取ります。

立上り部の接合

1. 立上り部は、硬質塩化ビニル管を使用します。立上り部は、インバート部の受口下部から地表面(または設計地表面)までの高さを測定し、蓋の有効高さ[表-3](防護蓋使用時は15cm)を差し引いた長さで切断します。(図-16参照)。

蓋、種類、呼び径 50 75 100 150 200
C-AIタイプ(ライト,グレー) 10 13 13 20 22
C-BIタイプ(ライト,グレー) 10 7 7 15 25
C-A0タイプ(ライト,グレー) 17 21 21 37 45
C-B0タイプ(ライト,グレー) 22.5 24 26 42 40

表-3 蓋の有効高さ(mm)

図-16 立ち上がり部の高さ測定

図-17 立ち上がり部の垂直確認

2. 立上り部の下部、およびインバート部の受口部をウエスで拭き、油、水、砂、泥等を取り除きます。

3. 立上り部の下部、およびインバート部の受口部に接着剤を均一に塗布します。

4. 立上り部をインバート部の受口に挿入して、そのまましばらく保持します。なお、挿入はインバート部が傾いたりずれたりしないよう、丁寧に行い、水準器で垂直を確認してください。(図-17参照)

5. はみ出した接着剤を拭き取ります。

6. 地表面に大きな傾斜がある場合は、傾斜面対応タイプの蓋を使用してください。立上り管は、G・Lより蓋のつばの厚みを差し引いて、傾斜面に合わせて切断してください。

蓋の接合

図-18 蓋の設置

立上り部に蓋を接着します。なお、地表面が不明確な場合は、立上り部を長めに接合し、土砂が入らないように蓋を仮置きします。地表面が定まった後、立上り部上部を切断して調整してください。(図-18参照)

6.埋戻し

図-19 埋戻し方法

埋戻しは砂や良質土を用い、インバート部が移動したり、立上り部が傾いたりしないよう、周囲を均等に木だこ、足踏み、または突き棒等で何層かに分け、よく突き固め蓋と地表面が同一になるよう仕上げます。(図-19参照) なお、発生土を用いる場合は石、ガレキ、木片等、管やインバート部に悪影響を及ぼすような固形物を必ず取り除いてください。

7.蓋の防護例

図-20 蓋の防護例

ビニマスを車庫等に設置するとき、舗装を行わない場合は、蓋の周囲がくぼみ側面が露出するおそれがあるので、周囲をコンクリートで巻立て保護をしてください。またアジャスト対応(ゴム輪接合)の蓋を高さ調整し、設置する場合も、必ずコンクリート防護を行って固定してください。(図-20参照)

防護蓋

図-21 防護工

車両が通行する場所に設置する場合は、二分割構造の防護蓋を設置し、防護工をしてください。(図-21参照)

8.施工後の確認事項

  1. 施工完了後、ビニマス内に土砂が落ちていないか、点検鏡等で確認してください。
  2. スケール等で管底寸法を測定し、設計通りか確認してください。
  3. 排水試験を行い、流れ状態を確認してください。

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